業務改革(BPR)の進め方とは?5つのステップでわかりやすく解説

業務改革に取り組みたいと考えていても、「どうやって進めてよいかわからない。」「なかなか進まない。」という声を中小企業の担当者の方からよく耳にします。確かに成功すれば大きな成果が見込めますが、やり方を間違えてしまえば投資が無駄になり、慎重になるのも理解できます。

本記事では業務改革を成功に導く進め方について5ステップでわかりやすく解説し、ポイントや注意点をまとめました。

業務改革(BPR)の進め方とは?5つのステップでわかりやすく解説

業務改善と業務改革の違い

ところで、業務改革と似たような言葉で「業務改善」というものがありますが、みなさんはこの二つの違いについて説明することが可能でしょうか。意味を混同してしまいがちですが、ここでは「業務改善」と「業務改革」との違いをはっきりと定義し、より効果的な取り組みを実施していきましょう。

「業務改革」と「業務改善」の違い比較表

業務改善 業務改革
対象 現プロセスを肯定。業務プロセス全体は変更しない、業務の一部の小さなムダを無くすなどの手直しをする。 現プロセスを否定。業務プロセス全体を抜本的に見直し、再構築する。全体の最適化を図る。
実行者 作業担当者がアプローチ トップの積極的な関与が必須、強いリーダーシップが必要
範囲 小さい範囲 組織的
関係者 反対する人はほとんどいない 反対する人がいる
難易度 誰もが成果を上げることができる 難易度が高い
期間 1週間から1か月程度 1年以上かかるケースもある
目的 比較的小さな業務効率化 抜本的な業務効率化、新しいビジネスへの対応、高度にQCDを満たす、顧客への価値創造
IT活用 必ずしも必要ではない IT技術を積極的に活用

表のように比較すると「業務改善」と「業務改革」には大きな違いがあることがわかります。業務改善は少しずつ部分的な改善を繰り返しますが、業務改革は時間をかけて一気に大きく業務効率化を図ります。

また業務改革はBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)とも言います。BPRのR(リエンジニアリング)には、根本から再構築するという意味があります。既存の業務プロセス抜本的に見直し、業務・組織・戦略を劇的に改革するのが業務改革です。

業務改革の進め方

それでは実際に業務改革を進めるにあたって、手順と方法を5ステップで解説します。

手順としては以下になります。

  1. 現状業務の把握
  2. 課題分析
  3. 基本計画の策定
  4. 実行
  5. 効果測定

方法については各ステップで詳しく解説していきます。

1.現状業務の把握

★ポイント:業務フロー図を作成する

まずは現状把握から行いましょう。既存業務の流れと内容を見える化し、俯瞰することが重要です。

方法として、業務フロー図の作成が有効です。

【業務フロー図を作成することによって得られるメリット】

  • 組織内のどの部門が何をすべきか明確になる
  • 部門内で誰が何をするのか、担当ごとの業務の流れがわかる
  • どの段階で業務の分岐が発生するか、判断ポイントがわかる
  • どの段階で、何を参照して業務を進めるのか、わかる
  • システムによる自動化への移行可能業務が見えてくる
  • 各担当者の業務内訳やボリュームを把握し、的確な役割分担ができる
  • プロジェクトメンバー間で課題が共有できる

逆に言いますと、業務改革を成功へ導くためには、まず業務フローを作成しないことには何も始まらないとも言えます。

業務フローの書き方がわからないという方はこちらから業務フローの書き方ガイドをダウンロードできますのでご活用ください。

2.課題分析

★ポイント:「ムラ・ムダ・ムリ」はないか?の視点で見る

業務フロー図を作成したら、業務プロセスを俯瞰し、どこにどのような課題があるかを特定します。組織・システム・人員に「ムダ・ムラ・ムリ」が無いかどうかという視点で洗い出しを行いましょう。
「ムダ・ムラ・ムリ」についての解説は【ITツールを活用した業務改善|解説と成功事例を紹介】の記事をご参照ください。

例)

  • 不要な慣習により生じている問題はないか・・・ムダ
  • 不要な動線、工程はないか・・・ムダ
  • 停滞・遅延している業務はないか・・・ムラ
  • 属人化していないか・・・ムラ
  • 人手では限界にきている業務はないか・・・ムリ
  • 実践不可能なスケジュールになっていないか・・・ムリ

また、業務フロー図を用いて、実務担当者にも困りごとはないか必ずヒアリングを行いましょう。現場の意見を無視しないことは大変重要です。業務改革を計画している担当者がムダな作業と思っても、実務担当者からすると必要な作業の場合もあります。様々な部署のメンバーと連携しながら進めましょう。

3.実行計画の策定

★ポイント:優先順位をつける

★ポイント:目標は定量的に定める

課題分析ができたら実行計画の策定を行いますが、業務改革に関するノウハウが少ない段階で、いきなり全社的な業務改革を行おうとすると失敗します。従って課題には優先順位を付けて計画的に行う必要があります。

優先順位の決め方は以下の視点から考えます。

難易度:課題解決に要するコストや工数
効果:課題解決により得られる効果

優先順位の上位は「難易度が低く、効果が大きい」ものです。

優先順位を決定したら上位の課題から具体的な実行計画を立てていきます。

実行計画で決めることは以下です。

  • プロジェクトメンバー、推進体制
  • 業務改革のテーマ
  • 成果目標の段階的な設定
  • 具現化の手法・手順・期間

これらの実行シナリオを予算に合わせて作成します。

また、想定していなかった事態が発生することは当然のようにあります。そうした事態にも素早く対応できるような準備、体制を整えておきましょう。

さらにもうひとつ重要なことは成果目標を定量的に定めることです。「定量的に定める」というのは、誰が見ても分かりやすい「数値」や「数量」で設定することです。

プロジェクトメンバー間でわかりやすい目標を共有することはプロジェクト推進力の維持に繋がります。また、業務改革後の効果測定をする際にも定量的に行うため、課題と目標を定量的に管理しましょう。

具現化の手法については、ITシステムの導入など社内のリソースだけでは難しい場合、ITコンサルタントに相談することをおすすめします。

予算や担当者のITリテラシーに合わせた柔軟なサポートが可能なITコンサルタントはこちら。https://qualitycube.jp

4.実行

★ポイント:難易度の低いものから取り組み、成功体験を積む

★ポイント:初期導入時のフォローをする

★ポイント:定期的に進捗会議を開く

最初の取り組みは難易度の低いものから取り組み、成功させることが重要です。業務改革による効果を立証することにより、経営層や関係組織にも理解を得ることができますし、成功したノウハウは次の取り組みに活かすことができるため、改革へのスピード感を高めることに繋がります。

また、業務改革を行うと業務の流れが大きく変わるため、導入初期にミスが増えてもおかしくありません。フォローできる体制を整えておきましょう。

そしてプロジェクトメンバー間で定期的な進捗会議を行うことも重要です。

特に「現場関係者を巻き込む」ことにより、円滑なプロジェクト推進を助けます。

5.効果測定

★ポイント:チェックリストを作成する

最後に効果測定をどのように行うかについて解説します。効果測定は取り組みが成功したのか失敗したのか、改良の余地はあるかなどを数値や数量で判断し、原因・要因分析を行います。基準値に満たなかった場合は新たな解決策を立案していきましょう。

効果測定は以下のステップで行います

  1. チェックリストを作成

どのような項目について効果を測定するかを定めます。

項目については以下のようなものがあります。

  • 作業時間
  • 動作数
  • ミス件数
  • 品質や安全に繋がる動作
  • 納期遅延件数
  • チェックリストに数値や数量で効果を記載する

このような指標の記録作業は非常に手間であるため、効果測定は極力負担を軽くして定期的に継続して行い、実態を掴みやすくしましょう。機器を使って自動で計測するといった省力化の工夫をすることも大切です。

2.効果について評価点数をつける

点数の範囲は測定精度の高さにもよりますが、5段階評価にするなど評価者にも閲覧者とってもわかりやすい評価にしましょう。

バックオフィスの効率化やマーケティングによるリード獲得数などはすぐに効果が見えないかもしれません。長期的な目線で測定しましょう。

3.測定が適正かどうか振り返る

測定自体が適正だったかどうかを振り返ることも大切です。

まとめ

業務改革の進め方について解説しました。業務改善と比較すると難易度も高いですが、成功すれば高い効果が得られます。業務改善と業務改革は言葉としては似ていますが進め方は全く違うものになりますので混同しないように、しっかりと切り分けて同時並行で進め、相乗効果を狙いましょう。また、業務改革を企画する前に、事前準備として担当者の方や関係者の方のITリテラシー教育がおすすめです。ITシステム導入のヒントになるかもしれませんし、プロジェクトのスタート時にIT知識レベルを統一しておくことにより、その後のコミュニケーションがスムーズになります。

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効率よく基礎を学び、社内のIT化を促進しましょう。

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